2017年3月2日木曜日

たらればで稼げたらワープアは存在しない

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難しい問題だけど、逸失利益というものを算定するなら、やはりゼロは妥当だと思う。

子を失った親が感情的、感傷的になってしまうのは、独り身の自分でもまるで分からないわけではない。ただでさえ子を失ったところに、死んだ子を安く査定されることで追い討ちをかけられたら、そりゃ誰かに当たりたくなっても仕方あるまい。ただ、だからと言って遺失利益と慰謝料をごっちゃにするのは間違っていると思う。

冷静に見てまともに働けそうになかった子の遺失利益を日本人男性の平均年収から算出しろと言うのは、いくら何でも無理が過ぎる。たとえばこの2014年の民間の年収階層分布によれば、そもそも年収が日本人男性の平均に満たない日本人男性の方が多数派なのだ。男性の中だけで見ても、6割が500万円にも満たないのだから。贔屓目なしに遺失利益を見積もったら、公的な補助で辛うじて赤字を回避できるレベルと見るのが妥当だろう。

遺失利益は遺失利益として、あくまで定義通りに算定すべきだろう。その低さで遺族が心理的なダメージを受けたのなら、その傷を埋め合わせるのは慰謝料であるべきだ。戦死者の2階級特進じゃあるまいし、死んだ後に不自然に評価が持ち上げられるのは違和感しかない。

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