2012年5月1日火曜日

Scheme第12歩

OOPの話。
まずはクラスの定義。
(define-class クラス名 (スーパークラス名 ...)  (スロット定義 ...))
クラス名とスーパークラス名はそのまんまの意味だからいいとして、スロットという見慣れない言葉の正体は、他の言語で言うところのクラスメンバのようなもの。オプション次第でインスタンス変数になったり、クラス変数になったりする。
クラスのインスタンスを作成するには
(make クラス名)
とする。また、インスタンスのスロットにアクセスするには
(slot-ref インスタンス スロット名)
(slot-set! インスタンス スロット名 値)
とする。

例えば、このように使う。
(define-class <animal> () (name (age :init-value 0)))
(define an-animal (make <animal>))
(slot-set! an-animal 'name "Nanashi")
(print (slot-ref an-animal 'age))
スロット定義は、名前だけ指定すれば単なるインスタンス変数となる。(名前 オプション ...)の形で定義すると、初期値やらgetterやらsetterやらを指定できる。が、他の言語にあるようなアクセス権はないので、カプセル化に関しては使う側の良識に依存している。
なお、クラス名を<>で括っているのは単なる慣例であって、文法上必要なわけではない。

ちょいと継承も使ってみよう。
(define-class <fish> (<animal>) ((in-saltwater? :init-value #f)))
(define-class <bird> (<animal>) ((fly? :init-value #t :init-keyword :fly? :getter is-able-to-fly?)))
(define carp (make <fish>))
(define a-penguin (make <bird> :fly #f))
(print (slot-ref carp 'age))
(print (is-able-to-fly? a-penguin))
スーパークラスのスロットも、サブクラスで追加したスロットも、同じように使える。

問題は多態性。Schemeの場合、他の多くの言語のようにメソッドがクラスに含まれるわけではなく、名前は同じだが引数のタイプや数が異なる関数の多重定義によって、多態性を実現する。ジェネリック関数と呼ばれるこのタイプの関数は
(define-method 関数名 (引数 ...) 処理内容 ...)
と定義する。例えば
(define-method bark ((a <dog>)) (print "bow"))
(define-method bark ((a <cat>)) (print "mew"))
とすると、引数が<dog>クラスのインスタンスなら"bow"と吠え、<cat>クラスのインスタンスなら"mew"と鳴く、bark関数が定義される。
大事なことなので2度書くが、ジェネリック関数はクラスの中にある特別な関数ではない。なので、特別に名前のみでスロットにアクセスできたりするようなことはない。

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