2023年7月4日火曜日

ときめきステーショナリーズ「デット・アンド・リライブ」

ときめきステーショナリーズ「デット・アンド・リライブ」を観劇してきた。千秋楽まで無事終わったので、以下ネタバレは気にしない感想。

まず、全体的にアクション要素が強め。更に、ステージと客席の間まで会場を使うことで、かなり迫力を増している。今回は最前列を取れたこともあって、床を伝って振動まで感じられた。

では、アクション全振りかと言われると、ストーリーもかなり重い。無条件で神に存在価値を認められた一族の末裔を祭る宗教の信者が、その神に反旗を翻す話。ただ、目に見える形で神というものは登場しないので、その矛先は祭られていた人である亜離亜に向けられてしまう。

人はただ存在するだけで価値がある。…と思いたい気持ちは、自分も大いに理解できる。そして歴史上、そんな不安の受け皿という役割を宗教が担ってきたのも確かなこと。多くの人は、信じる神に自身の存在価値を担保してもらっていたのだ。いや、過去形ではなく、現在もまだ何らかの神を信じている人の方が多数派なのかな。無宗教の日本人の感覚だと、信心のどこまでが本気でどこからが建前なのか、イマイチよく分からんのだけれど。

悲しい別れを経た義春先生は、単にやけっぱちになったのではなく、無情な現実をもたらした神に不信感を抱いてしまった。神の存在までは疑わなくても、神の意思は信じていた通りではなかったのではないか、と。無宗教な自分が、自身の存在意義に折り合いをつけるのも簡単ではなかったけれど、信じていた神に梯子を外されたときのダメージは、それは大きかろう。で、文房具を擬人化した世界の話なので、「使われてなんぼ」というところに新たな存在価値を見出そうとしたわけだ。

亜離亜を柱に聖ステ学院は立て直すことになったけど、物理的な復興以上に、信心の立て直しは難題じゃないかなぁ。義春先生以外は、信心が歪んだ形で発露してしまっただけで失われてはいないのかもしれないが。

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