2022年10月17日月曜日

銀河鉄道のなかで

銀河鉄道のなかでを観劇してきた。

千穐楽まで無事完走できたので、以下ネタバレを気にしない感想。

太宰治×宮沢賢治? いや、宮沢賢治×太宰治もありだったかw 没後の彼らが、死者だけが乗っていられる銀河鉄道の車内で出会う。そこに現代で亡くなった文学少女穂乃果や、賢治の妹トシも加わってくる会話劇。病によって望まぬ早世をした宮沢兄妹と、自ら死を望んだ太宰。そして、ザネリを救って命を落としたカムパネルラと同じように、溺れた友人・恵美を救って命を落とした穂乃果。人生色々、死に方も色々だけど、自殺するのはもったいないというところに話は着地する。これに関しては個人的にも同意。何であれ、せっかく生きているというレアな状態にあるのだから、くたばるまでの間、できるだけ面白おかしく過ごした方が、お得だろう。

そんな車内の会話と並行して、現代の話も進む。穂乃果の死因となってしまった恵美と、その2人の友人であり、事故現場の川にいながら助けられなかった春。確かに、助けられた恵美のその後は、針の筵だよなぁ。穂乃果を殺したと言われても仕方ないし、そう思ってしまうのも仕方ない。そして、矛先が恵美に向けられているのをいいことに、助けられなかった自分は悪くないと思い込もうとする春の気持ちも分かる。思い込もうとすることで上乗せされる罪悪感も。

死人とその周りにいた人達の話なので、全てを丸く収めてハッピーエンドとはならないのだけれど、現代の恵美と春が心の傷跡を受け入れたのは良かったかな。それと、太宰治が入水より前の自殺未遂で銀河鉄道に乗っていたので、実はまだ死んでおらず、戻れるという話になったのだけれど、そうやって死に損なった太宰治が書いた作品だと思って人間失格を読み返してみたら、ちょっと面白いかもしれない。

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