遠き日2025~キミへ繋ぐあの日の約束~が全公演無事に終了したので、以下、ネタバレを気にしない感想。
近しい人を亡くしてよく辛いのはわかる。けれど、それは残された家族全員に共通の苦しみのはず。なのに、娘を失った両親や姉を失った弟が気丈に振る舞っている一方で、辛い辛いムーブで周囲を引っ掻き回す美咲には、正直なところ初見では共感できなかった。
ただもう一度見て、美咲が悲しみを一手に引き受けたからこそ他の家族が救われたのでは。自分より苦しんでいる美咲を助けるために、気丈に振る舞えたのではないかと思い直した。結果論ではあるけど。
逆に、最も感情移入しやすかったのが仁奈。散々美咲に振り回された挙句、それでもやっと積み上げてきたものを台無しにされそうになったら、怒るのは当然だろう。そんな怒りをリセットして、ようやくダンス部のことを思って曲を作り上げた美咲を、認めて受け入れたのは立派な大人だった。
美咲の転機は、やはりその曲作りだろう。人のために曲を作ろうというのに、仲間を蔑ろにしては本末転倒。仲間のためでもなければならないと、気付いたのだろう。でなければきっと、仁奈は認めなかっただろう。
黒田先生の企てはお世辞にも誉められたものではないけど、離婚後に酒に溺れ、破滅の道を辿った父親の暴力に苛まれていたということは、離婚時に父親を選ぶ程に慕っていたはずなんだよなぁ。それを壊されれば、恨んでしまうのも分からなくはない。
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